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誕生秘話

どうして人は、
自分の暮らす街に訪れる旅行者には、その土地のルールやマナーを守ってほしいと願うのに、
いざ自分が旅に出る時には、地域のマナーに関心をもたないのだろう。

自分が嫌な思いをするときは、声高に主張するのに、
当事者になれば、旅行を楽しむことに精一杯で、周囲への配慮は忘れてしまう。

これは、人間がもつ根源的な矛盾なのかもしれません。
しかし、この矛盾に向き合い、旅先での行動に意識を向けてもらうために
2021年「ツーリストシップ」という言葉は、生まれました。

とはいえ、具体的にツーリストシップとは何か。
旅行中、何に気を付ければいいのか。
どんな良い関わりができるのか。
多くの人は、ほとんど知識をもたないまま、旅をしてきました。
国内旅行も、国外旅行も、どんなアンテナをたてたらいいのか。
それらを整理し、わかりやすく伝え、旅の現場で、「実践的に使える知識」に変えること。
それがツーリストシップ検定を作った目的です。

検定を作ると言っても、その過程には様々な困難がありました。
まずは、「世界のどこにもない、旅行の行動に特化したテキスト」を作ること。
GSTCなどの国際基準を参考にしつつ、旅行者目線で情報を再構成し、
数多の書籍、新聞、雑誌、そして観光地等での聞き取り調査を重ねながら、
有識者の方々にも力を貸していただき、行動の原則をひとつひとつ言語化しました。
方針の決定から完成まで、実に4年かかりました。

次に待っていたのが、「検定をどう設計するか」という大きな壁でした。
旅先のひとつひとつの行動には、それぞれの背景や事情、小さな思いやりが潜んでいるかもしれない。
それを「正解不正解の世界」に落とし込むことはできませんでした。

またチームで議論する中で気づいたことがあります。
一般的な検定試験の最大の障壁は、自習時間を確保し、試験勉強をすることではないか。

そこで、私たちは思い切った方向転換をしました。

一緒に学び、一緒に考える検定にする。

ツーリストシップ検定は、2つの講義、1つのワークショップ、
ツーリストシップアンバサダー検定は、3つの講義、3つのワークショップを修了した人のみが試験を受けられます。

試験も、講義とワークショップにしっかり向き合えば
自主勉強をしなくても合格水準に達するように設計しています。
(とはいえ今のところ、全体の2割~3割は1度目の試験では合格に至らず、複数回受けてくださっています。)

ツーリストシップの知識を整理し学習できる基盤を作るため検定を始めましたが、
私たちが認定したいのは「高得点をとる人」ではありません。
ツーリストシップ検定を通し、旅先の人の暮らしに思いを馳せ、
思いやりある行動を考える、その時間そのものです。

その積み重ねこそが、これからの皆さんの旅の基礎であり、
新たな旅を形作る可能性になると信じています。

ツーリストシップ検定は、まだ始まったばかりです。
皆さんの挑戦が、旅のあり方を変え、地域と旅行者の関係をより良くしていくための、
大きな一歩になると信じています。

あなたがこの学びに参加し、ツーリストシップの物語を一緒に育ててくださること、
心から願っています。

ツーリストシップグローバル株式会社
代表取締役社長 田中千恵子